回胴界の枠組みを飛び越え、一般社会においても絶大な知名度を誇っているジャグラーシリーズ。
今日も全国のホールには初心者から上級者まで、多様なプレイヤーがジャグラーのシマに集っている。
果たして、多くの人間を惹きつける根源的な要素は一体何か。おそらくはギャンブルとしての魅力が大きいと思われるが、きっとそれだけではない。
大小を問わず多数の妙味があり、それを感じ取る人間が多いからこそ、ジャグラーはこれだけの人気を保っているはずだ。
この企画では、自称ジャーナリスト・板橋北子(いたばしきたこ)がゲリラ取材を敢行し、「Youは何しにジャグラーへ?」と問う。
さて、今回はどんな物語が紡がれるのだろうか――。
【Vol.48 わらしべGO!者】
■日時:2023年8月某日(水) 12:00
■場所:関東地方・某県某市
■取材対象:AWさん(推定28歳・女性・無職)
※了承を得た上でインタビューしています(フィクションも含みます)
――Youは何しにジャグラーへ?
「なにこれ、インタビュー?」
――お忙しくなければ、是非。
「ギャラって出るの?」
――いえ、基本は無償でご協力いただいています。
「それじゃ無理、ごめんなさい」
――それなら、このジャグラーキーホルダーを差し上げます。
「仕方ないわね、それで手を打つわ。簡単に言えば、ジャグラーで勝負のタネ銭を作っている感じよ」
――勝負のタネ銭?
「まずはジャグラーで1~2万ぐらいプラスにして、それを今度はAT機とかに持っていくの。少しずつハイリスクな機種を打って、お金を増やしていくイメージ」
――手堅く勝つため、最初にジャグラーを打つと。
「そうね。あたし、お金の使い方には結構細かいのよ」
――もし、最初のジャグラーで負けてしまった場合は?
「そのときは諦めて帰る。投資は1日1万までって決めてるわ」
――仮にジャグラーで勝っても、その後の機種で負ける場合もありますよね。
「そりゃそうよ。でも、うまくいったときの快感はすごい」
――そういうものですか。
「どんどん雪だるま式に資産を増やしていく感覚っていうのかな。これは何事にも代え難い」
――それで、現時点の状況は?
「今日はちょっとダメっぽい。このまま帰ることになりそうね」
――それは残念です。
「でも、あなたに会えたからOKよ」
――なぜですか?
「だって、キーホルダーを貰えるんでしょ?」
――私が身につけていたものですけど、喜んでいただけると?
「ほら、ネットオークションで売れるかもしれないじゃない」
――それって、今言わなくても良いんじゃないですかね……。
「タダで貰ったものがお金になったら最高じゃない! それがジャグラーの軍資金になって、さらに増えるかもしれない。いや、増やしてみせるわ!!」
AWさんに幸あれ。
Youは何しにジャグラーへ?
板橋北子(いたばしきたこ)がアポ無し取材を敢行し、ジャグラーを打っている人々に「Youは何しにジャグラーへ?」と問う、インタビュー形式のコラム。「ジャグラーを打つ理由」を聞き、ドラマチックな人間模様や波乱万丈の物語を紹介していく。