日本全国のホールにおいて、常に高い人気を誇っているジャグラーシリーズ。
老若男女はもちろん、地域、職業、日常生活の違いなどに関係なく、今日も多くの人間が「ペカリ」の瞬間を待ち望んでいる。
彼らが求めるものは決してボーナスだけではなく、さらに言えばギャンブルとしての見返りだけでもない。
それぞれが抱く本能的な欲望、社会的な事情などを深掘りすれば、十人十色の「打つ理由」が存在するはずだ。
この企画では、自称ジャーナリスト・板橋北子(いたばしきたこ)がゲリラ取材を敢行し、「Youは何しにジャグラーへ?」と問う。
さて、今回はどんな物語が紡がれるのだろうか――。
【Vol.46 NONO!酔いどれピエロ】
■日時:2023年8月某日(木) 15:00
■場所:南東北・某県某市
■取材対象:AUさん(推定51歳・男性・職業不詳)
※了承を得た上でインタビューしています(フィクションも含みます)
――Youは何しにジャグラーへ?
「なんだ!? 店員が? それとも私服の警官げ?」
――すみません、インタビューしている者です。
「悪ぃけど、おらは遠慮すっぞ。他に行ってくんちぇ」
――もしよろしければ、少しだけお話を聞かせていただけませんか。
「あやまっちまうなぁ(注:困ったの意味)。はぁ……」
――ん? もしかして、お酒を飲まれてます?
「バ、バカ! そんなわけぇねべ!」
――ため息がお酒臭いですけど。
「……ちょごっとだけな」
――飲酒されている方は、基本的に入店禁止です。
「なんだ、おめぇ店員でもねぇのに文句つけんのが?」
――すみません。こっそり聞きますけど、なぜお酒を入れてジャグラーに?
「GOGO!ランプの輝きが違うんだ。いつもより3倍はキレイだぁ~」
――そう感じるってことですね。
「目押しの難易度が上がるのも、なかなか楽しいぞ」
――……酔っ払っているから、なかなか絵柄を狙えないと。
「んだ。こんな体験、シラフじゃできねぇべ?」
――だからと言って、やはりお酒を飲んで打つのは控えたほうが……。
「うっつぁし!!(注:うるさいの意味)。おっかぁと同じようなことを言うな!」
――奥様も心配されていると思います。昼間から飲んで、パチ屋に行くなんて。
「毎日じゃねぇんだよ? たまには良いべよ」
――ところで、この店までは徒歩で来られたんですか?
「え? チャリだ」
――あのー、自転車も飲酒運転になると思いますが。
「なんだ? おめぇは警察が!? 違うべ! 余計な口を聞くんでねぇよ!」
――す、すみません。頑張ってください。
「おわっ! ペカったぞ! キレイだなぁ……。それじゃ7を狙って……どこだ? ここが? ……う~ぅ気持ち悪ぃ!! おめぇ、ビニール袋持ってっか?」
AUさんに幸あれ。
Youは何しにジャグラーへ?
板橋北子(いたばしきたこ)がアポ無し取材を敢行し、ジャグラーを打っている人々に「Youは何しにジャグラーへ?」と問う、インタビュー形式のコラム。「ジャグラーを打つ理由」を聞き、ドラマチックな人間模様や波乱万丈の物語を紹介していく。