「国民的パチスロ」と言っても過言ではないほど、老若男女を問わず高い人気を誇るジャグラーシリーズ。
全国のホールでは、多数のプレイヤーが一打一打に気合いを入れてGOGO!ランプの輝きを待ちわびている。
彼らが最終的に求めているのは、おそらく金銭的な見返りだろう。しかし、ギャンブルの枠を超えたところに魅力を見出している人も多い。
それぞれに話を聞けば、きっと十人十色の「打つ理由」があるはずだ。
この企画では、自称ジャーナリスト・板橋北子(いたばしきたこ)がゲリラ取材を敢行し、「Youは何しにジャグラーへ?」と問う。
さて、今回はどんな物語が紡がれるのだろうか――。
【Vol.39 GOGO!煩悩クリーナー】
■日時:2023年5月某日(月) 15:00
■場所:埼玉県・某市
■取材対象:ANさん(推定36歳・男性・無職)
※了承を得た上でインタビューしています(フィクションも含みます)
――Youは何しにジャグラーへ?
「自らの煩悩を取り払うため、ここに来ました(合掌)」
――ジャグラーで煩悩を取り払える?
「はい。除夜の鐘と同じ原理です」
――ん? すみません、ご説明お願いします。
「除夜の鐘は108回つきますよね。これは人間の煩悩の数と同じ。鐘をつくことによって、煩悩を除こうとしているわけです」
――で、ジャグラーと何の関係が?
「もちろん、GOGO!ランプを108回ペカらせるんですよ」
――さすがに1日では無理ですよね。
「はい、ですから1ヶ月にしました」
――……それだと逆に簡単すぎるのでは?
「日数じゃありません。GOGO!ランプに願いを込めることが重要なのです。108ペカリを達成した日には、私も少しは成長できるかもしませんね」
――失礼ですが、ご職業はお坊さん?
「お坊さんの勉強中と言ったところですね」
――ということは、学生さんとか、何らかの修行中とか?
「いえ、今は無職です。独学で勉強しています」
――お坊さんになるのに、独学って大丈夫なんですか?
「自分の心持ち次第じゃないですか。108ペカリを達成できたら、きっと僧侶としての気構えも備わると思うんです」
――そもそも、ジャグラーを打つこと自体が煩悩ですけどね。
「……違いますよ。仏様はそんなことを言っていません」
――108ペカリを目標にするなんて、煩悩まみれですよね。
「……解釈の違いです。ジャグラーは特別なんです」
――っていうか、なぜお坊さんを目指しているんですか?
「もう、俗世がイヤになっちゃって」
――だから仏門に入りたいと。なぜ俗世がイヤに?
「スロプロみたいな生活をしていましたが、いろいろあって足を洗いたい。だから最後に108ペカリさせて、未練を断って、出家しようかと思ったんです」
――1ヶ月の修行、がんばってください。
「……やっぱり期間を3ヶ月に延長しよっかな。いや、出家しなくても自分がしっかりしていれば問題ないですよね? よし、パチスロを打つためにバイト探さなきゃ」
ANさんに幸あれ。
Youは何しにジャグラーへ?
板橋北子(いたばしきたこ)がアポ無し取材を敢行し、ジャグラーを打っている人々に「Youは何しにジャグラーへ?」と問う、インタビュー形式のコラム。「ジャグラーを打つ理由」を聞き、ドラマチックな人間模様や波乱万丈の物語を紹介していく。