全国津々浦々、どの地域でも多くの人間を魅了し続けているジャグラーシリーズ。
開店から閉店まで、ジャグラーのシマには多くのプレイヤーが集い、GOGO!ランプの挙動に一喜一憂し、財布の中身の増減に心を揺さぶられている。
もちろん、そのシンプルなゲーム性や遊技要素は、ジャグラーを打つ理由として欠かせないものだろう。
しかし、魅力はそれだけとも限らない。
人間の嗜好が十人十色である以上、「ジャグラーに惹かれる理由」もバラエティに富んでいるはずだ
この企画では、自称ジャーナリスト・板橋北子(いたばしきたこ)がゲリラ取材を敢行し、「Youは何しにジャグラーへ?」と問う。
さて、今回はどんな物語が紡がれるのだろうか――。
【Vol.36 GOGO!夜王への道】
■日時:2023年4月某日(月) 17:00
■場所:東京都・某区
■取材対象:ALさん(推定22歳・男性・自由業)
※了承を得た上でインタビューしています(フィクションも含みます)
――Youは何しにジャグラーへ?
「あ? 出勤前にちょろっと暇つぶしって感じ」
――夕方ですけど、これからお仕事に?
「そうだよ。っていうかお姉さん、可愛いね」
――そ、そんなことありませんよ。
「見た目が真面目そうだからさ、直接言ってくる奴は少ないかもしれないけど、みんな内心そう思ってるよ。お姉さんのこと、もっと知りたくなっちゃったな」
――いきなりそんなこと言われても……。
「この後、うちの店に来ない? 初回だからサービスするし」
――うちの店?
「オレ、ホストやってんの」
――なるほど、だから言葉が巧みなんですね。
「全然。先輩に怒られてばっかし」
――まだ新人さんですか。
「新人って言っても2年ぐらいかな。でも女性のことはよく分かんない。今までモテてきたわけでもないし、まだ勉強中って感じ」
――なぜホストの道へ?
「そりゃやっぱ金でしょ!」
――まだ給料面は厳しい?
「うん。先輩を頼って、なんとか生きてる感じだもん」
――ジャグラーを打っている場合じゃないのでは?
「…………(目を潤ませる)そうだよなぁ。もう残り2千円だし」
――もしかして泣いてます?
「オレ、いつでも好きなだけジャグラーを打てるような人間になりたい。そのためにはNo.1を目指さなきゃ!」
――そ、そうですか。
「No.1になったら、今までバカにしてきた奴らも見返せるし、お世話になった人にもたくさん恩返しができる。お姉さん、少しでも良いからオレを応援してく……」
――結構です。
「食い気味で言わないでよ。でも、しゃーないか。まだまだスキルが足りないし」
――スキルとか以前に、単純に好みじゃありません。
「グサっと刺すね……」
――ジャグラーも仕事も頑張ってください。
「あ、これから別のホストクラブに行かない? それとも稼ぎの良い仕事を紹介しよっか? なんでも言ってよ!」
――結構です。それじゃ。
「……オレもそろそろ帰ろうかな。田舎に」
ALさんに幸あれ。
Youは何しにジャグラーへ?
板橋北子(いたばしきたこ)がアポ無し取材を敢行し、ジャグラーを打っている人々に「Youは何しにジャグラーへ?」と問う、インタビュー形式のコラム。「ジャグラーを打つ理由」を聞き、ドラマチックな人間模様や波乱万丈の物語を紹介していく。