どのような新機種が登場しようとも、常に安定した人気を維持し続けているジャグラーシリーズ。
人気の要因を語る際、多くの場合はシンプルなゲーム性や、他のノーマルタイプとは一線を画す出玉曲線(連チャン力)などが挙げられる。
もちろん、それらは誰もが魅力に感じる要素だが、人間とは多様性に満ちているもの。
本能、思想、嗜好は十人十色であり、つまりはジャグラーに惹かれる理由も千差万別である。
この企画では、自称ジャーナリスト・板橋北子(いたばしきたこ)がゲリラ取材を敢行し、「Youは何しにジャグラーへ?」と問う。
さて、今回はどんな物語が紡がれるのだろうか――。
【Vol.36 ジャグラー熱波師】
■日時:2023年4月某日(水) 20:30
■場所:東京都・某区
■取材対象:AKさん(推定38歳・女性・アルバイト)
※了承を得た上でインタビューしています(フィクションも含みます)
――Youは何しにジャグラーへ?
「波を読んで、感じるためかな」
――波?
「ほら、ジャグラーって『ジャグ連』と呼ばれる波があるでしょ? あれほどアツいものってないと思うの」
――一撃性能は、AT機などのほうがアツいですよね?
「あっちは出来レースで波を決めちゃうじゃない。でもジャグラーは違う。毎ゲーム抽選の奇跡、まさに神の采配によって波が起こるのよ」
――別にAT機も出来レースじゃないと思いますけど。
「…(無視)。でさ、あたしはジャグラーの波をある程度読めるの」
――つまり、あなたは神的な才能があると?
「っていうか、超えた存在かもね。だって神の采配を読むんだから」
――どうやって波を読むんですか?
「少し割愛するけど、確率っていつか収束するじゃない? そこを狙うわけ」
――急に話のスケールが現実的になったような…。
「単に大ハマリ台を狙うわけじゃないのよ。いろいろコツはあるわ。企業秘密だけど」
――勝率はいかがですか?
「6~7割ってところね。波が読めないときもあるし」
――それにしたって、なかなか良い勝率ですけど。
「波が読めるってことは、引き際も読めるってことだからさ。ただ、最近はあまり成績が良くないんだ」
――神を超えた存在にもスランプがある?
「実はね……。いや、なんでもないわ」
――原因が分かっている?
「誰にも言っちゃダメよ。実はね、あたし、攻撃されているの」
――攻撃? どういった?
「電磁波よ、電磁波。目には見えないけど、熱~っい波を送ってくる奴がいるの。それで妨害されてる」
――そ、それは大変です。
「あたしの能力を把握して、やっつけたい組織がいるのね、きっと」
――ご無理せず、がんばってください。
「あ、また熱いのが襲ってきた! あたしが台の波を感じた瞬間に妨害してさ! でも今日は負けないわよ!…ほら、BIGが来た!! どう、あたしの力って本物でしょ?」
AKさんに幸あれ。
Youは何しにジャグラーへ?
板橋北子(いたばしきたこ)がアポ無し取材を敢行し、ジャグラーを打っている人々に「Youは何しにジャグラーへ?」と問う、インタビュー形式のコラム。「ジャグラーを打つ理由」を聞き、ドラマチックな人間模様や波乱万丈の物語を紹介していく。