開店から閉店時まで、常に多くのプレイヤーを惹きつけているジャグラーシリーズ。
誰でも分かりやすいゲーム性、「ジャグ連」の瞬発力、愛くるしいキャラクターなど、その魅力は枚挙にいとまがない。
つまりは琴線に触れる場所=「ジャグラーを打つ理由」も十人十色。その背景をじっくり探ってみれば、実に多様性あふれる物語が待っているはずだ。
この企画では、自称ジャーナリスト・板橋北子(いたばしきたこ)がゲリラ取材を敢行し、「Youは何しにジャグラーへ?」と問う。
さて、今回はどんな物語が紡がれるのだろうか――。
【Vol.35 ジャグラー飛び級入学】
■日時:2023年4月某日(月) 16:00
■場所:神奈川県・某区
■取材対象:AJさん(推定18歳・男性・学生)
※了承を得た上でインタビューしています(フィクションも含みます)
――Youは何しにジャグラーへ?
「パチンコ屋に入れるようになったから、それで」
――もしかして18歳になったばかり?
「誕生日は9月ですが、3月まで高校生だったんすよ」
――今は学生さん?
「近くの大学に入りました。実は今日が入学式なんす」
――入学式当日にパチ屋なんて、気合入ってますね。
「そりゃもう、打てる日を待ってましたし」
――なぜ、そこまで打ちたかったんですか?
「ん? いや、ネットの動画とか観てたし、楽しそうだなと思って」
――最初にジャグラーを選んだ理由は?
「他の台よりも設定に力を入れているホールが多いし、この店だってそうっすよね」
――やけに詳しいですね。
「そ、そういう動画を前に観たんすよ」
――実機に触れるのは今日が初めて?
「たしか1、2年前か……いや、あ? うん、ゲーセンで打ってました」
――待ちに待った実戦、今のところいかがですか?
「う~ん、REG出現率がイマイチだから、どうしようかなって迷ってるんすよねぇ。店を移動してもいいけど、あっちは5.6枚だしなぁ」
――本当に今日がデビュー戦?
「……高校生までは打っちゃダメなんすよ? ちゃんと守ってたに決まってるじゃないっすか! やだなぁ」
――その割には、やけに慣れているような。
「そうっすか? 今は情報が溢れているし、予習もできちゃうってことっすよ。ちょっとトイレに行きますわ。それじゃ」
――ちゃんとカードを取り出して、トイレの方向もすぐに分かるんですね。
「……(無視してトイレへ)」
(約5分経過)
――お帰りなさい。
「えっ、まだいるんすか? 勘弁してくださいよ」
――堂々と打てる日が来て、やっぱり嬉しいですよね?
「……あんたのせいで最悪の入学式になりましたわ」
AJさんに幸あれ。
Youは何しにジャグラーへ?
板橋北子(いたばしきたこ)がアポ無し取材を敢行し、ジャグラーを打っている人々に「Youは何しにジャグラーへ?」と問う、インタビュー形式のコラム。「ジャグラーを打つ理由」を聞き、ドラマチックな人間模様や波乱万丈の物語を紹介していく。