少しずつ春の兆しが見え始め、世の中の動きも活発になりつつある今日この頃。
全国のホールにあるジャグラーのシマは季節を問わず賑わっているが、そのテンションはさらに上向いている。
我々がジャグラーに惹かれる理由は何か。
誰もが浮かべるイメージは「ゲーム性のシンプルさ」「GOGO!ランプの輝き」「ジャグ連の興奮」など、ある程度固定化されている。
しかし細部に目を凝らせば、プレイヤーの数だけ「打つ理由」があるはず。にわかには想像できない衝撃のストーリーもあるだろう。
この企画では、自称ジャーナリスト・板橋北子(いたばしきたこ)がゲリラ取材を敢行し、「Youは何しにジャグラーへ?」と問う。
さて、今回はどんな物語が紡がれるのだろうか――。
【Vol.33 『光』デザイナー・博打開眼】
■日時:2023年2月某日(木) 20:00
■場所:関東某県・某市
■取材対象:AHさん(推定49歳・女性・自営業)
※了承を得た上でインタビューしています(フィクションも含まれます)
――Youは何しにジャグラーへ?
「(パシャッ)優しい黄色の電球イメージ……と」
――GOGO!ランプをタブレットで撮影してから、何かメモを取っているんですか。
「あれっ、何かご用?」
――ジャグラーを打っている理由をお聞きしたくて。
「仕事柄、ジャグラーというパチスロ台を知りたくなったの」
――仕事柄?
「実は私、照明デザイナーをやっているの。場所や空間の『光』を演出する仕事ね」
――イルミネーションとか、そういった関係も?
「『光』のことなら何でもやるわよ。でも、光GENJIとか、東八郎さんのヨード卵光とは関係ないわ。ハハハ」
――光GENJI? 東八郎?
「ごめんなさい、あなたは同世代じゃないもんね。とにかく、面白い『光』があるって聞いたから、照明デザイナーとして色々と調べたくなるのよ」
――だからジャグラーを打ちに来たと。
「ええ。ところで、このランプはどうなれば光るの?」
――機械の内部でボーナスが当たると光ります。その台も当たっから光っているんです。
「何も知らないままパチンコ屋さんに来ちゃたからさ。わかりま千円、永谷園って感じで」
――え? 今なんて?
「ごめんなさい、また余計なこと言っちゃった。教えてくれてありがとう。それじゃ」
――いやいや、ボーナスを消化しないんですか?
「もうリサーチは済んだから。次のジャグラーに行かなきゃ」
――光っている台を放棄するなんて、もったいないですよ。光るまで、お金を使っていると思いますし。
「2万ぐらいかな。でも、あまり興味ないの。あなたにその台をあげるわ」
――そう言われても……ホントに良いんですか? ありがとうございます!
「どうぞどうぞ。それにしても、なぜこんなに大勢の人がジャグラーにいるのかしら?」
――やっぱり、GOGO!ランプの輝きに惹かれるのかと。
「けっこう刺激的だもんね。歓楽街のネオンみたいで気分が上がりそうだし。次の仕事の参考になるかも」
――次の仕事?
「クライアントさんから『興奮させる光を』ってオーダーがあるのよ」
――ジャグラーは何らかのヒントになりそうです。
「ただ現状、私自身はあまり興奮を感じていないわ」
――ギャンブル的な意味があるからこそ、GOGO!ランプの興奮度も高まるのかもしれませんよ。たくさん光れば投資した2万円が倍にだって……。
「ちょっと、早くどいてよ! 私の台を返しなさい!!」
AHさんに幸あれ。
Youは何しにジャグラーへ?
板橋北子(いたばしきたこ)がアポ無し取材を敢行し、ジャグラーを打っている人々に「Youは何しにジャグラーへ?」と問う、インタビュー形式のコラム。「ジャグラーを打つ理由」を聞き、ドラマチックな人間模様や波乱万丈の物語を紹介していく。