季節や天候などにあまり左右されず、常に多くの人間を引き寄せるパチスロ・ジャグラーシリーズ。
6.5号機やスマスロなど、バラエティに富む機種が存在するなかで、確固たる人気を誇っている。
なぜ彼らはジャグラーのシマに集うのか。そして、ジャグラーのどこに魅力を感じているのか。
おそらく、その答えは十人十色。表情からは垣間見えない、それぞれの思想、背景などをじっくり紐解けば、きっと興味深いドラマが待っているはずだ。
この企画では、自称ジャーナリスト・板橋北子(いたばしきたこ)がゲリラ取材を敢行し、「Youは何しにジャグラーへ?」と問う。
さて、今回はどんな物語が紡がれるのだろうか――。
【Vol.32 シャバの空気とジャグラーと】
■日時:2023年2月某日(火) 20:00
■場所:関東某県・某市
■取材対象:AGさん(推定51歳・男性・職業不詳)
※了承を得た上でインタビューしています(フィクションも含まれます)
――Youは何しにジャグラーへ?
「実はパチンコ屋に来るの、20年ぶりなんだ」
――それは随分と間が空きましたね。なぜ?
「ちょっと……ね。つい数日前に戻ってきた」
――仕事で海外にでも?
「そ、そうだな。いろいろあって離れていたんだ」
――久しぶりのパチンコ屋さんはいかがですか?
「店の雰囲気も違うし、台も知らないものばかりだし、やっぱ戸惑うわ。でも、ジャグラーは昔と同じだろ?」
――違う部分はありますけど、基本のゲーム性は同じだと思います。
「やっぱりそうか。だから自分でも打てるかなって思ったんだ」
――20年前にもジャグラーを?
「まぁな。昔も初心者で、そこまで上手じゃなかったけど。でも、GOGO!ランプが光ったら店員に揃えてもらえばOKだろ?」
――残念ながら、今は店員さんに目押しを頼めません。昔も厳密にはそうだったかと。
「えっ、そりゃ困ったな。シャバのルールは時代で変わるんだなぁ」
――シャバって何ですか?
「いや、なんでもない。世の中全体も随分と変わっちゃって、なんだか不思議な感覚だよ。街にはオ○マっぽい男も増えているしさ」
――その言葉も、今はNGかもしれません。
「そうなの? なかなか難しいなぁ……。ちょっと一服するわ」
――紙タバコは所定の喫煙所で吸ってください。
「はぁ!? パチ屋なのに吸えねぇのかよ!」
――今はそういうルールですから。
「みんな、実はこっそり吸ってるんだろ? 俺もここで吸っちゃうぞ」
――ちょ、ちょっと! 店員さんに怒られますし、SNSで晒されて炎上するかもしれませんよ。
「SNS? 炎上?」
――インターネット上で批判的な意見が集まって、社会的に処刑されます。
「なんだよ、それ……怖すぎるわ。こんな世の中だったら、ずっとムショにいたほうが良かったかも」
AGさんに幸あれ。
Youは何しにジャグラーへ?
板橋北子(いたばしきたこ)がアポ無し取材を敢行し、ジャグラーを打っている人々に「Youは何しにジャグラーへ?」と問う、インタビュー形式のコラム。「ジャグラーを打つ理由」を聞き、ドラマチックな人間模様や波乱万丈の物語を紹介していく。