春夏秋冬、昼夜を問わず、常に多くの人々を魅了し続けるジャグラーシリーズ。
その人気の要因は親しみやすいゲーム性による安心感、「ジャグ連」と呼ばれる独特の連チャン力。
そして何より、パチンコ店にある回胴式遊技機としてギャンブル的要素を孕んでいることだろう。
ただし、実際の「打つ理由」はそれだけに限らない。各人の思いを丹念に掘り下げていけば、きっと勝ち負け以外のファクターが存在するはずだ。
この企画では、自称ジャーナリスト・板橋北子(いたばしきたこ)がゲリラ取材を敢行し、「Youは何しにジャグラーへ?」と問う。
さて、今回はどんな物語が紡がれるのだろうか――。
【Vol.19 個室気分で息ヌキジャグラー】
■日時:2022年9月某日(水) 19:00
■場所:東京都・某区
■取材対象:Tさん(推定32歳・男性・会社員)
※事前に了承を得た上で、インタビューした体のフィクションです。
――Youは何しにジャグラーへ?
「…………」
――すみませーん!(トントンと軽く肩を叩く)
「うわっ!!!! なに、あんた!?」
――あ、ワイヤレスイヤホンを付けていたんですか。
「そうだよ。っていうか、何の用?」
――ジャグラーを打つ理由を教えてほしいと思いまして。
「理由? 簡単だからに決まってんじゃん。こうやってスマホで映像を観ながら、イヤホンで音楽を聴きながらでも打てる。チラッとGOGO!ランプをチェックすればOKだからさ」
――つまり、「ながら打ち」に最適だと。
「ああ、時間を有効に使えるだろ? 自分の趣味を満喫しつつ、片方ではギャンブルにも挑戦できる。最高じゃんか」
――あくまでもジャグラーは脇役?
「もちろんジャグ自体も好きだよ。ただ、少なくとも最近はスマホ視聴がメインになってる感じかな」
――ちなみに、スマホで何を観ているんですか?
「んなもん、あんたに言う必要はないわ」
――少しでも良いから教えてください。
「イヤだね。いつも周囲にはバレないようにコッソリ観てるし」
――あまり隠されると、それはそれで怪しんでしまいます。
「しつこいな……。実はさ、ホールをビデボ代わりに使ってるの」
――びでぼ? 北斗の断末魔ですか?
「ビデオボックスの略。言わせないでよ」
――ビデオボックスとは、どんな場所?
「自分で調べな。実はホールって、個室に近いんだよね。みんな自分の台に集中しているし、ガヤガヤうるさいから、スマホとイヤホンを使うと他の場所より没入感がある」
――だから、イヤらしい映像を観ても問題ないと。
「ビデボのこと知ってんじゃん! もちろん、ホールで変なコトはしないよ」
――ホールじゃなく、実際のビデボに行けば良いのでは?
「そのお金がもったいない。ホールならお金が増えるかもしれないじゃんか」
――そもそも、自宅で済ませれば良いのでは?
「……嫁さんにバレるのが怖いじゃんか」
――そもそも、奥様がいるなら……。
「そんなに単純な問題じゃないんだよ……。お願いだから、俺の唯一の憩いの時間を邪魔しないでくれーっ!!」
Tさんに幸あれ。
Youは何しにジャグラーへ?
板橋北子(いたばしきたこ)がアポ無し取材を敢行し、ジャグラーを打っている人々に「Youは何しにジャグラーへ?」と問う、インタビュー形式のコラム。「ジャグラーを打つ理由」を聞き、ドラマチックな人間模様や波乱万丈の物語を紹介していく。