俺の名はカズ。
仕事帰りにパチスロと夜の街…とりわけガールズバーを満喫することを生き甲斐としているありきたりなサラリーマンスロッターさ。
昔話をすると若者からうざがられそうだが、若い頃はホールと夜の街を毎晩ブイブイ言わせてたもんだよ。
ただ、そんな俺も年齢的なものやら会社のしがらみやらには勝てないのか…。最近では仕事に追われて毎晩の楽しみはほとんどお預け状態だ。
特に残業やら接待やらといったCZをクリアできないこともあって、パチスロ終わりに夜の街へ繰り出す漢のビクトリーロードには中々突入させられずにいる始末。
ただ、そんな俺だってまだまだ虎や狼といった獣としての本能は健在だ。
チャンスさえあれば仕事終わりに雄叫びを上げることも厭わない気持ちは持ち続けているってもんさ。
そこで俺は考えたんだ。
月に一度か二度くらいはタガを外してとことんパチスロとガールズバーに向き合おうってね。
そのために、自分自身にこんなマイルールを課してみた。
【マイルール】
■ジャグラーシリーズの機種で実戦。
■実戦開始時間に縛りはないが終了時間はガールズバーの鍵開け(開店)に間に合うまで。
■勝利時は勝った金額内ならガールズバーで豪遊可能。敗北時は原稿料から初回セット料金(ドリンク別なら1杯)のみ負担するが、それ以外でお金を使うことは禁止。
早い話がパチスロで勝利できれば夢のような時間が待っている。
しかし、セット料金以下の勝ちや敗北なんてしようものなら、キャストにドリンクの1杯も捧げられないという地獄のお預けナイトが開演してしまうって訳さ。
ドリンクの出せないガールズバーなんて、亀を助けなかった浦島太郎くらい誰からも感謝されない存在に他ならない。
亀が迎えに来ることもなければ、竜宮城の存在を知る由もナシ。
ただ漁師としてひっそりとした人生を過ごしただけの一般人として誰にも名が知られることなかっただろう。
俺が望むのはそんな平凡な人生ではない。
ガールズバーという名の夜の竜宮城で鯛やヒラメの舞い踊りを楽しむためにも、まずはパチスロでの勝利を堅実に目指していきたいところだ。
さて、当コラムのパチスロ&ガールズバー実戦は基本的に1人。
だが、最近我が部署に配属されて来た新米の田中が先日の飲み会中にこんなことを言ってきた。
「部長ってパチスロやるんですよね? 自分もやるんですけど、今度ご一緒してもいいですか?」
今まで同じ部署ではそこそこパチスロユーザーがいたのだが、最近の若い子でいうとかなり久々なこの感覚。
しかも、ガールズバーにも一緒に行きたいと来た。
飲みニケーションがパワハラだのアルハラだのと叫ばれる昨今において、こいつは部下との振興を深める絶好のチャンス。
とはいえ、最近の実戦は当コラムのルールがあり、かなり迷った。
実戦で負けたらキャストドリンクが出せないなど、ざっくり己が置かれている状況だけを伝えてみたら全然それで構わないとのこと。
それならばということで、当コラム初の連れ打ち実戦を決行することとなった。
とはいえ、田中にとってこちとら上司のはしくれ。
ここはきっちり快勝してパチスロや夜遊びの何たるかを享受してしんぜようじゃないか。
自分がじっくり吟味して打つ台を決めると特に何かを考える様子もなく隣にさっと腰掛ける田中。
おいおい…田中くん。
パチスロってやつはそんな簡単な気持ちで勝てるほど甘くはないよ。まぁ、ここは先輩がビシッと勝って、まずはパチスロの何たるかを知らしめてあげないとな。
15 BIG
9 BIG
そんな意気込みが台にも伝播したのか、打ち始め早々にGOGO!ランプは通常告知ながらBIGが2連。
こいつは幸先が良いな…と思っていたのだが、ここで田中がボソッと
「通常告知でBIG2連は危ないですね…」
おいおい…田中くん。
オカルトに頼っているようではまだまだだよ。ここは緻密なデータから導き出された信頼と実績ってやつを見せてやらねばないけないな。
ところが…田中の予言が的中したのか、ここから出玉はあっさり飲まれ、電球が切れてるんじゃないかと疑うくらいの深いハマリに遭遇。
しかし、ここまでのトータルのデータ的には全然粘って大丈夫ですよ!といわんばかりの展開なので、ここはグッと我慢だな。
そうこうしてると横で201G、127Gと何ともいえないところでREGを引く田中。
田中よ!お前もなかなか苦戦してるな。
ここは先輩として、ひとつ優しい声でもかけてやるか…と思い立った次の瞬間だった。
「カズさん…流れ、来てますよ」
いやいや、寝言は寝てから言ってくれよ田中くん。さすがに、ボーナス合算1/220の台でこれといった良い部分も見えてこないんだから、さすがにそれはないだろ。
と、普通ならこちらの意見の方が絶対的正義だと思うのだが、期待値とか確率論とは何なのか…。
田中の台が光ること光ること。
自分の台が423GでREG、613GでREGなどという中ハマリ2連チャンしてるのを横目に、あっという間に出玉は2000枚弱まで到達。
「カズさん…そういう日もありますよ」
…と優しい言葉をかけ返される始末。
その後も俺と田中はまさに対称的な流れとなり、田中はまさかの2430枚流して快勝。
俺の方はというと中ハマリ2連後に500Gノーボーナスでギブアップという久方ぶりの完全敗北を喫することになってしまった。
信頼と実績の立ち回りが若さの勢いに圧倒されるとはね…。
ふっ…これだから、パチスロは面白いぜ。などと言ってやりたいのは山々だが、この後のことを考えるとちっとも面白くない。
総ゲーム数:1560G
BIG:2回
REG:2回
投資:32000円
回収:0枚
換金:0円
収支:−32000円
それどころか、今世紀最大級の地獄が待っているのではないだろうか。
1人で訪れると大半は女性キャストが1人しかつかないのだが、客数が少ない鍵開けかつ2人で来店したこともあり、今宵は大当たり級の美女キャストが2人で接客。
いつもなら間違いなくちょっとしたレア役でもバンバン刺さるであろうくらいの天国モード確定。
なのだが…今宵に限ってはまさに生き地獄。
というのも、女性キャストが乾杯いいですか?と言うたびにふた回りは違う田中にいちいちお伺いを立ててもらわなければならないのだ。
同年代とか歳が近い友達ならまだしも、こいつはもはや屈辱以外の何物でもない。
そして、自分の前についたドストライクの美女にそっけなくしたことが良くなかったなだろうか…。
手を伸ばせば届くところにいた美女キャストは30分でまさかの交代。
しかし、新しく来た子もまた美女キャストという左からべっぴんさん、一つ飛ばすことなくべっぴんさんというべっぴんさんの天国ループが訪れてるじゃないか。
何故こんな日に限って1セットしかいれないんだ。
そんな想いも虚しく時間はあっという間に経過していくもの。
「もう間もなく時間みたいですけど先輩どうします?」
本来なら寝土下座してでも居座りたいところだが、ルールはルール。
「俺は先に上がるから楽しんでってくれよ」
そう言い残して店を後にすることを決めた。
会計中にマバムという光るシャンパンを入れた田中。
「やっぱジャグラーもシャンパンも光ったら最高だよね!」
などと吐かす後半を尻目にまだ電灯すら点灯していない明るさの街を後にすることになった。
次こそは俺もGOGO!ランプとシャンパンを光らせたいものだよ。
ジャグラー代-32000円 ガルバ代3300円
計-35300円也。
ジャグラーガール・ズバー
バツイチ独身サラリーマンで少しハードボイルド系のカズが趣味であるジャグラーと夜の街を掛け合わせた実戦コラム。ジャグラーで勝利できれば、プラス分のなかで豪遊する予定ですが、もちろん、新型コロナ予防対策に十分気を付け、節度を持って行動します。