時代や世情が変わろうとも、常に回胴界の王道を突き進むジャグラーシリーズ。
今日も全国のホールにあるジャグラーのシマには老若男女が集い、静かな熱を帯びながらGOGO!ランプの輝きを待ち望んでいる。
彼らがもっとも欲しているものは、できる限りのボーナスであり、ギャンブルとしての勝利だろう。
しかし、そのような欲望とは別のところに「ジャグラーを打つ理由」がきっと存在し、深い人間ドラマも垣間見えるはずだ。
この企画では、自称ジャーナリスト・板橋北子(いたばしきたこ)がゲリラ取材を敢行し、「Youは何しにジャグラーへ?」と問う。
さて、今回はどんな物語が紡がれるのだろうか――。
【Vol.15 ママ友ジャグラー会の闇】
■日時:2022年7月某日(月) 19:00
■場所:東北・某県某市
■取材対象:0さん(推定46歳・女性・無職)
※事前に了承を得た上で、インタビューした体のフィクションです。
――Youは何しにジャグラーへ?
「近所の人に誘われて、それから」
――今回が初めて?
「いや、もう2年ぐらい付き合っているんじゃないかしら。本当はもうヤメたいんだけどね」
――辞めたいのに辞められない?
「…ここだけの話よ。私をジャグラーに誘ったAさんっているんだけど、彼女はかなりヤバいの」
――ヤバいとは?
「最初は良い顔ばかりで、たしかに人間的な魅力もある。でも、ちょっと機嫌を損ねると陰口のオンパレードで、イジメもあるの。それを怖がって、Aさんには逆らえない。アメとムチで洗脳している部分もあるかも」
――そんな人、いるんですね。
「でもね、ジャグラーに誘ってくれたことは感謝してるわ。楽しいし。ジャグラーを辞めたいんじゃなくて、Aさんとの人間関係を止めたいのよ」
――ちなみに今日はAさんも一緒?
「一緒だったら貴女にこんなこと言えないわよ。近所で村八分にされちゃう。普段はAさんを中心にママ友3~5人ぐらいで来るけど、1人で打つこともあるわ」
――ところで、ジャグラーの魅力は?
「みんなそうだと思うけど、やっぱりGOGO!ランプが光った瞬間よね。それと…」
――それと?
「Aさんと一緒に打っていると、私がGOGO!ランプを光らせるたびに褒めてくれるのよ。それが嬉しくって」
――そ、そうですか。
「あ、それにね、Aさんは資金面の面倒も良いのよ。私の軍資金が尽きたときは、いつでも貸してくれるの。返済はいつでも良いからって」
――あのー、やっぱりAさんにせんの……
「あっ、私は何を言ってるんだろ。違うわよね。早く関係を断ち切らないと、精神がボロボロになっちゃうもん」
――がんばってください
「ありがとう。…あ、GOGO!ランプが光った! 早くAさんにLINEで報告しないと怒られちゃうわ! その前に1人で打っていることを謝らなきゃ!」
Oさんに幸あれ。
Youは何しにジャグラーへ?
板橋北子(いたばしきたこ)がアポ無し取材を敢行し、ジャグラーを打っている人々に「Youは何しにジャグラーへ?」と問う、インタビュー形式のコラム。「ジャグラーを打つ理由」を聞き、ドラマチックな人間模様や波乱万丈の物語を紹介していく。