常に賛否両論がありながらも、確実に多くの人間を魅了している日本の文化――。
今日も日本全国のホールではパチンコ・パチスロに人が集い、もちろんジャグラーシリーズのシマも活況を呈している。
基本的に彼らは遊技機を「ギャンブルマシン」として見ているだろうが、その裏側には金銭の価値だけで測れない「打つ理由」が存在するかもしれない。
この企画では、自称ジャーナリスト・板橋北子(いたばしきたこ)がゲリラ取材を敢行し、「Youは何しにジャグラーへ?」と問う。
さて今回はどのような物語が紡がれるのだろうか――。
【Vol.11 現場とジャグの狭間で】
■日時:2022年6月某日(火) 11:00
■場所:南東北・某県某市
■取材対象:Kさん(推定36歳・男性・建築業)
※事前に了承を得た上で、インタビューした体のフィクションです。
――Youは何しにジャグラーへ?
「今日は大雨だべ?」
――小雨ですけど、まぁ雨ですね。
「おれらの仕事は、雨だとできねぇんだ」
――外のお仕事?
「この格好を見たら分がっぺよ」
――ニッカポッカですね。鳶職とか建設業の方?
「姉ちゃん、これでサラリーマンだったらどうすんのよ(笑)」
――雨だから休みになって、だからジャグラーを?
「まぁ、親方が休みっていうからよ。仕方ねぇべ? だからパチ屋に来た」
――ジャグラーの理由は?
「実はあまりパチスロのことを知らねぇんだ。仲間に誘われて数回打っただけだからよ。でも、ジャグラーなら分かる。光ったら当たりだべ? 一気に5000円ぐらい出るんだべ?」
――まぁ、そうですね。
「オレでも安心して打てるし、いつでも近くで遊べるのが良いよな。元々ギャンブルは好きじゃねぇけど、ジャグラーとボートレースはイケるわ。あとマカオのカジノとtotoBIG」
――それってギャンブル大好きなのでは…?
「んだかもな。働かねぇで稼ぐのが理想だわ、ハハハ!」
――あれ、誰かが近づいてきました。
「……お、親方! すみません、現場に行こうと思ったんですけど、つい足が……」
――雨だから休みじゃなかったんですか。
「親方、これから地道に働きます! 借金も返しますから! 許してくんちぇ!」
Kさんに幸あれ。
Youは何しにジャグラーへ?
板橋北子(いたばしきたこ)がアポ無し取材を敢行し、ジャグラーを打っている人々に「Youは何しにジャグラーへ?」と問う、インタビュー形式のコラム。「ジャグラーを打つ理由」を聞き、ドラマチックな人間模様や波乱万丈の物語を紹介していく。