日本全国で、いつでもどこでも誰でも楽しめる遊技機・ジャグラー。
多くのプレイヤーがGOGO!ランプの輝きを待ち望み、祈るようにレバーを叩き、第3ボタンを離している。
彼らが目指すものは、できる限り大量のコインを獲得し、それに見合った金銭を得ることだろう。
しかし、実際には勝利以外の「打つ理由」が存在し、そこには十人十色の人間ドラマが垣間見えるはずだ。
この企画では、自称ジャーナリスト・板橋北子(いたばしきたこ)がゲリラ取材を敢行し、「Youは何しにジャグラーへ?」と問う。
さて、今回はどんな物語が紡がれるのだろうか――。
【Vol.10 視察の裏にある真の目的】
■日時:2022年5月某日(月) 11:00
■場所:茨城県・某市
■取材対象:Jさん(推定41歳・男性・会社員)
※事前に了承を得た上で、インタビューした体のフィクションです。
――Youは何しにジャグラーへ?
「打つ理由ってこと? そんなこと聞いてどうすんのさ」
――一応、仕事なんです。
「あんた、業界の人? どっかのライター? 動画では見ない顔だな」
――業界の末端には属しているかと…。
「そうか。俺も同じ業界だよ」
――スーツにジャンパーといったお姿ですが、どんなお仕事を?
「店長をやってるの」
――ホール店長さんですか。休日に他店を視察?
「出勤日だよ。視察を兼ねて打つのも仕事の一つだからさ。他の店がジャグラーをどう使っているのか、やっぱり気になるし」
――お勤めの店は近所?
「いや、今日は遠出してきた。普段は近隣の店で打つことが多いけど、たまには他県に行かないと。刺激もほしいし」
――刺激?
「県をまたぐと、やっぱりジャグラーの営業方針とか、装飾の傾向とかが違ったりするんだよ。近くの店ばかり意識していると、気づかないことも結構あるんだわ。それに…」
――それに?
「いや、何でもない。まぁ、普段食べられないご当地グルメも楽しめるでしょ?」
――いいお仕事ですね
「こう見えても、いろいろ大変なんだよ。もちろん元々パチスロ好きだし、ジャグラーも好きだから、こうして仕事で打てるのは幸せなことだけどさ。全部忘れて、ゆっくり息抜きしたいわ」
――ところで、隣の女性はお知り合いですか? さっき軽く会釈されましたけど。
「え? あ、いや、昔さ、俺の店で働いてた子なんだ。今日は偶然会ったいうか…」
――他県に来ている理由って、もしかして…? しかも勤務中に?
「え? ん? は? い、いや、そ、そんなわけないじゃん!」
――そうですか…。
「頼む! このインタビューは掲載NGってことで! 今度、うちの店に来店取材とかで呼ぶし、ほかの仕事もあげるからさ、お願い!!」
Jさんに幸あれ。
Youは何しにジャグラーへ?
板橋北子(いたばしきたこ)がアポ無し取材を敢行し、ジャグラーを打っている人々に「Youは何しにジャグラーへ?」と問う、インタビュー形式のコラム。「ジャグラーを打つ理由」を聞き、ドラマチックな人間模様や波乱万丈の物語を紹介していく。