いつの時代でも安定した楽しさを提供する、不動の人気パチスロ機・ジャグラー。
今日も日本全国のホールには、ジャグラーの「光」を求めて多くの人間が集っている。
彼らはGOGO!ランプに魅了されつつ、同時にギャンブルとしての成果=金銭を追い求めているはずだが、「打つ理由」はそれだけに限らない。
個別に対話を交わしてみれば、ジャグラーという「入り口」の奥に人生観や価値観などが垣間見えてくるのだ。
この企画では、自称ジャーナリスト・板橋北子(いたばしきたこ)がゲリラ取材を敢行し、「Youは何しにジャグラーへ?」と問う。
さて、今回はどんな物語が紡がれるのだろうか――。
【Vol.8 ジャグラーという縁~特別編その3~】
■日時:2022年4月某日(金) 20:00
■場所:東京都・某区
■取材対象:Hさん(推定45歳・女性・自営業)
※事前に了承を得た上で、インタビューした体のフィクションです。
――Youは何しにジャグラーへ?
「もちろんジャグラーが好きだから打ってるんだけど、実はそれ以外にも理由があるの」
――それ以外の理由?
「パチンコ屋さんって、お客同士のコミュニケーションが少ないじゃない? 私はそれを何とかしたいと思って。まずはジャグラーのシマにいるお客さんに声をかけて、なんていうか、温かい雰囲気づくりを試みてるのよ」
――温かい雰囲気づくり?
「そう。たとえば寂しそうなお年寄りがいたら、さりげなく世間話をして、その人と仲良くなれそうな人につないだり。あたし、おせっかいなのよ(笑)」
――拒絶されることもあるのでは?
「もちろんあるわ。新興宗教の勧誘かと疑われることもあった。でも、それは仕方ないし、無理に距離を詰めようとも思わない。あたしのできる範囲で、楽しいサークルができれば良いと思ってるの」
――そもそも、なぜそのような考えを?
「人と人の縁なんて、どこに転がっているか分からないじゃない。殺伐としたパチンコ屋にだって、きっと縁はある。皆が後悔しないためにも、小さな縁の種を大切にしたいと思ってるのよ。ほら、あの2人を見て」
――あの2人?……あっ!!
「実は昨日、男性のほうに話しかけたの。前から顔は知ってたけど、話したのは初めて。色々聞いていたら、あの女性と気が合いそうだなと思って、紹介したのよ」
――私が先日、インタビューしたFさんとGさんです。
「あ~ら、そうだったの? お似合いだと思わない?」
――たしかに、2人とも似たようなことを話していました。
「でしょ? 実は以前からお互いに意識していたみたいなのよね。その小さな縁をあたしがつないだってこと」
――それで、2人は交際することに?
「詳しくは知らないけど、きっとそうでしょ。2人からお礼も言われたし」
――なんだか羨ましい話ですね。
「じゃあ、誰か紹介してあげようか? そうだなぁ、55歳でいい人がいるんだけど」
――お、お気持ちだけで結構です。
「あら、残念ね」
――Hさん自身のご縁は?
「ワンナイト的なご縁っていうのかな? それはあるんだけど、結婚とか交際には至らないのよね。まぁ、それはそれで縁だから大切にしないと。ちょっと侘しいけど…」
Hさんに幸あれ。
Youは何しにジャグラーへ?
板橋北子(いたばしきたこ)がアポ無し取材を敢行し、ジャグラーを打っている人々に「Youは何しにジャグラーへ?」と問う、インタビュー形式のコラム。「ジャグラーを打つ理由」を聞き、ドラマチックな人間模様や波乱万丈の物語を紹介していく。