もはやパチスロの代名詞と言っても過言ではないほど、絶大な地位を築いているジャグラーシリーズ。
今日も全国のホールでは、多くの人間がほぼ無言で筐体に向き合い、ひたすらGOGO!ランプの輝く瞬間を待ち望んでいる。
一見すると、彼らの姿から特別な何かを感じることはできない。しかし、実際の声を聞けば何らかの「人生劇場」があるはずだ。
この企画では自称ジャーナリストの板橋北子(いたばしきたこ)が取材を敢行し、「Youは何しにジャグラーへ?」と問う。
さて、今回はどのような物語が紡がれるのだろうか――。
【Vol.4 ジャグラー経営帝王学?】
■日時:2022年3月某日(火) 13:00
■場所:南関東某県・某市
■取材対象:Dさん(推定30歳・男性・職業不詳)
※あらかじめ取材の趣旨を説明し、了承を得た後のインタビュー…という体のフィクションです。
――Youは何しにジャグラーへ?
「あ? 別に良いじゃねぇかよ。なんか問題ある?」
――いえ、ないです。すみません
「そっちから話かけてきて、ビビってんの?」
――そ、そんなことはないです
「平日の昼間っからさ、上下スウェットでパチ屋をウロウロしている若い奴を見て、ちょっと面白そうだと思ったんでしょ」
――正直、そうです。
「馬鹿にしやがって。でも、ぶっちゃけこれも仕事なんだよね」
――スウェットでパチ屋をウロウロするのが仕事?
「そう。ジャグラーとか打ったり、休憩所でマンガを読んだりしながら、店内の様子をチェックしてる」
――用心棒的な?
「いや、クラブとかじゃないんだからさ。…これは誰にも言うなよ。俺、オーナーの息子」
――ホールオーナーの息子さん?
「ああ。今は経営を勉強中なんだ。だから毎日ホールに顔を出して、様子を見てるわけ。世を忍ぶ仮の姿でさ。フフッ」
――ジャグラーを打つのも勉強のため?
「もちろん。ジャグラーを上手に使えるかどうかでホールの経営は大きく左右される。俺は客層や稼働をチェックしたり、さりげなくお客さんから感想を聞いたりもするよ」
――将来的には跡を継ぐ?
「そうじゃなきゃ、こんなことしてないよ。スウェット着て、電子タバコ咥えて、フラフラして、休憩所でマンガを読んでさ。趣味じゃないし」
――あれ、隣に女性がいますけど? 似たような服を着てますね
「ん? 彼女だよ。へへへ、いつも一緒にいんだ」
――彼女連れで仕事?
「え? あぁ、まぁオーナーには許可もらってっからさ」
――あれ、店員さんが近づいてきました。あなたが休憩所のマンガをパクった?
「お、俺はオーナーの息子だぞ! 別に良いじゃねぇか。事務所に来いって? ああ、上等だよ! …インタビューの途中だけど、じゃあな!」
Dさんに幸あれ。
Youは何しにジャグラーへ?
板橋北子(いたばしきたこ)がアポ無し取材を敢行し、ジャグラーを打っている人々に「Youは何しにジャグラーへ?」と問う、インタビュー形式のコラム。「ジャグラーを打つ理由」を聞き、ドラマチックな人間模様や波乱万丈の物語を紹介していく。