「正直者がバカを見る」
そんな世の中にだけはなって欲しくない。常日頃からそう考えている中野和彦です。
イベント規制をしっかり守っている店舗、旧基準機をスケジュール通りに減台している店舗、みなし機は一切設置していない店舗、コンプライアンスを遵守しているホールほど経営が厳しくなり、バカを見ているのではないかと思えてなりません。
パチスロファンとしては旧基準機やみなし機が撤去されるのは寂しい限りですが、自主規制と言えども一度決めた内容はしっかり守っていただきたいものです。
※写真はイメージです。
パチンコ・パチスロ店舗の運営は、風適法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)によって風俗営業の一業種と定められています。ただ、この風適法は指導や摘発等の運用を都道府県警単位に一任されているため、全く足並みが揃わないんです、昔から。
前述したイベント規制もそう、貸しメダルの価格や交換率もそう、営業時間だってそうです。許認可を受けなければならない業態にも関わらず、地域によって店舗運営に関する取り決めや取り締まり状況がマチマチでは、法の下の平等な競争は成り立たないのではないかと思うんです。
そして今回は、このバラつきが招いた地域間格差、特に交換率の違いによる設定配分の格差について追求してみたいと思います。
今回、お話を聞かせていただいたのは、東京都内と近隣県に店舗を持つ中規模チェーンの店長(以下、X店長)。X店長は東京都内の店(A店)と近隣県の店(B店)の店長を兼務しており、両店舗の設定管理も一任されています。
ちなみに、A店は46枚貸し出し、52枚交換。B店は貸し出し・交換共に47枚、つまり等価交換店です(10月下旬取材時)。
中野「よろしくお願いします。今回は、交換率の違いによる設定配分を始めとする運用の違いについてお伺いします」
X店長「お願いします。東京と近隣県では交換率もそうだけど、イベントの厳しさも違うし、旧基準機の設置率も違うし、みなし機の取り扱いも違うし、勘弁して欲しいよね。ホント」
中野「東京はイベントが厳しいですもんね。ということは経営的にもA店の方が難しいですか?」
X店長「イベントは厳しいし、みなし機撤去についても厳しいし…。旧基準機はグズグズになっちゃったけどね。ただ、交換率は圧倒的に東京が有利。イベント規制やみなし機撤去問題の厳しさを差し引いても東京の方が運営は楽かな」
中野「そんなに違うもんですか?」
X店長「損益の分岐が11.3割だからね。相当出しても赤字にはなりにくいよね」
中野「なるほど。そこで伺いたいのがジャグラーの設定状況です。A店とB店で比較してもらって違いを交えながら教えていただきたいなと」
X店長「まずベースが全く違うよね。A店は通常営業から設定1は使わないし、毎日設定6が複数台ある。逆にB店は設定1も躊躇なく使う。一応設定6は毎日使ってるけど、台数は少ないよね」
中野「A店とB店で、特定日(イベントなど)の回数、規模、対象は同等ですか?」
X店長「基本的には一緒だね。5の付く日。もちろん、広告には打てないし公には言えないけど、両店舗とも浸透しているので、お客さんは期待して来店してくれるよね」
中野「ジャグラーの中でも機種ごとの違いってありますか?」
X店長「お客さんを集めたい、稼働を上げたいって時は、マイジャグ系を厚くするかな。それ以外は平等に使っているつもりなんだけど、ゴージャグとアイジャグが荒れるんだよね」
中野「マイジャグの方が暴れるイメージですけどね」
X店長「下ブレが多いんだよね、ゴージャグとアイジャグは。A店では基本的に出玉率100%を目標としていて、比較的マイジャグは計画通りにいきやすいんだけど、ゴージャグとアイジャグはショート(100%未満)しやすいんだわ」
中野「ショートした場合、どのように対処するんですか?」
X店長「高設定を増やして対処、それでも足りなかったら全台設定6にするかな」
中野「全6ですか? 出過ぎないですか!?」
X店長「想定しているより出てしまうことはほとんどないね。たまにびっくりするほど出ないこともあるし。特にアイジャグはね。この前なんか、全6にしたのに全台マイナスだったし(苦笑)」
中野「B店はどうでしょうか」
X店長「ベースが低いし、高設定の数も圧倒的に少ない。ただし、稼働をキープするために全台低設定みたいな無慈悲なことはしないよね」
中野「特定日ではどうでしょう?」
X店長「全台系は流石にやらないけど、高設定の台数はA店と遜色ないかな。ただ、A店は全台設定3以上にするけど、B店では流石にできないよね」
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中野「なるほど。その設定配分を踏まえた上で、本日最も聞きたい本題なんですが…。A店とB店、つまり交換ギャップがある店と等価交換店、どちらでの実戦が打ち手に取って有利なんでしょうか?」
X店長「B店ですね(キッパリ)。高設定を掴める割合は高いし、低設定を打たされるリスクは低いとなると圧倒的にA店の方が優れていると思われがちなんだけど、台粗を追っていくと明らかにA店の方が抜けている。つまり、お客さんにとってはB店の方が甘いんでしょうね」
中野「平均設定で言うと、どの程度違いますか」
X店長「1.3くらい、日によっては2段階ほど違うこともある。それでも、等価交換店の方が粗利は少ないよ。だから、お客さんが何を目指すかだよね。設定1のリスクを軽減し、高設定を狙うならA店がいいけれど、高設定を掴めずに中間設定を打たされた場合はB店の方が有利。設定1・2を掴まされた場合も、B店の方がマグレ勝ちに繋がりやすいよね」
中野「なるほど。等価交換店はそれほどなんですね。ありがとうございました」
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今回のインタビューの回答は意外でした。平均設定が1.3以上も違えば、A店の方が圧倒的に有利だと思っていたのに、実際にはA店の方が利益は多いらしい。B店は低設定を掴まされる確率が圧倒的に高いけど、長い目で見れば等価交換店で打った方が成績は上がるのかもしれませんね。
それともう一つ。今回のインタビューの副産物とでも言いましょうか、X店長は「100%を目指して運用する」と仰っていました。月の後半までに100%を割り込んでいる場合は、全6にするなどして調整するとも。つまり、月初から出ていないと感じたら、月の後半には高設定の台数が激増する!!らしいのです。1店舗に張り付いて、月の出玉を観察していくのもアリかもしれませんね。
ホールサイドのジャグ雑感
中野和彦(なかのかずひこ)が自分の人脈を最大限に引き出し、ホールによるジャグラーの扱い方などを紐解く。読者の皆様にホール店長の考え方やジャグラーシリーズの設定配分などを知っていただくための取材日記。