俺の名はカズ。
仕事帰りにパチスロとガールズバーを嗜むのが生き甲斐だったどこにでもいるようなしがないサラリーマンスロッターさ。
若い頃は仕事終わりに上司に連れ添われてホールでフィーバーした後に飲み屋街を転々とし、締めにガールズバーでフィーバーする。アフター5はそんなフィーバー三昧な人生を送っていたものさ。
ただ、そんな俺もアラフィフの仲間入りをしたばかり。悔しいけれど、数年前から仕事終わりのパチスロも月に数日行ければいい方。
毎日夜遊びするのなんざ、体力的にも厳しいってもんだ。
それならば、残りの人生と一緒で数少ない楽しみくらいはギュッと凝縮して味わいたい!ってことで、俺は自分自身にマイルールを設定することにした。
どんなルールかと言うと…
【マイルール】
■月に2回ジャグラーシリーズの機種で実戦を行う。
■実戦開始時間に縛りはないが実戦終了時間はガールズバーの鍵開け(開店)に間に合うまで
■勝利時は勝った金額内ならガールズバーで豪遊可能。敗北時は原稿料から初回セット料金(ドリンク別なら1杯)のみ負担するが、それ以外でお金を使うことは禁止
とどのつまりはパチスロとガールズバーという己の中の二大ムーブメントを目一杯満喫する日を作ろうって言う魂胆さ。
もっとも、パチスロで負けると夜のお楽しみが一転。地獄のようなワンセットを過ごすことになる可能性もあるのが難点だが…。
まぁ、出る前に負けること考えるバカいるかよっ!と昔の偉人(?)も言ってたような気がするし、当たって砕けるまでよ。
とは言ったものの、本当に当たって砕けたら身も蓋もない。ガールズバーもホールも攻めるべき場所の見極めは大事にしなくてはいけないよな。
さて、今回攻めるお店なのだが…ズバリ「周年」に焦点を当てて攻めて行こうと思う。
ガールズバーにおいて周年といえば、推しのバースデー、クリスマスと並ぶ3大イベントといっても過言ではない。
なかでも周年は店を挙げてのお祭とあって店内の盛り上がりも最高潮に達する。
そこで、スマートにお祝いができれば推しからの羨望の眼差しを得ることはもちろん、店からも感謝され、色々と融通をきかせてくれるなど見返りも充分期待できること請け合いだ。
当然、ガールズバーに通う身としては向こう1年気持ちよくお店で過ごすためにも、必ず押さえておかなきゃいけないイベントと言えるだろう。
そうなると、やはりシャンパンの1つでも入れなければならないので、パチスロでそこそこ快勝する必要がある。
そこで、考えた作戦がズバリ…
周年には周年で!
ガールズバーからは少し距離があるため実戦時間は限られてしまうのだが、探してみたらちょうどお誂え向きに周年3日目を迎えるホールがあったじゃないか!
こいつは盆と正月が一緒にやってきたようなもんだな。
ふふっ、ホールの周年で財布の中身を増やして、ガールズバーの周年の軍資金を稼ごう。
まぁ、周年の自転車操業作戦とでも名付けておこう。聞こえはイマイチだが…。
今回は朝イチからの稼働も考えたものの、より確実に勝利を手にするためには、いつも通り良さげな空き台を待つのが吉!
ってことで、ここ最近の立ち回り通り、夕方くらいから良さげな空き台を探す作戦に。
すると、875GでBIG3回・REG4回という、なぜ夕方過ぎに空いていたのか分からないお誂え向きなニューアイムジャグラーと出会うことに成功。
どうやら今夜はシャンパンファイトになるかもしれないな。
軍資金を下ろすついでにヘパリーゼを購入し、この後に控える宴への準備も万全。
さぁ、後は出玉を出すだけだっ!
すると、座った台の読みが当たったのか…
54 REG 2000円
33 REG
143 BIG 3000円
77 REG
59 BIG
と面白いくらい簡単に引ける初当たり。
おいおい、まさかこいつはシャンパンタワーまでいけちゃう流れか?
調子が良かったニューアイムジャグラーだけに、この時点で既に勝利を確信していたのだが…。
ここからまさかの
338 BIG
565 BIG 6000円
と中ハマリが連発。
シャンパンタワー真っしぐらかと思われた出玉は既に崩壊寸前。
ガールズバーの周年を前にして、よもやパチスロで敗北でもしようものなら待っているのは晒し者になるという悪夢のみ。
それこそ、女の子にノードリンクなんてことがあれば俺のガールズバー精神メーターの残機がノーライフになってしまう。
ダメだ…それだけは何が何でも避けなければっ!
BIG後、13G。
巷でブームになっている全集中とやらが何なのかは全くわからないが、これがアラフィフの全ての神経をGOGO!ランプに全集中で注いだ結果さ!といわんばかりに、会心のペカリ。
これがBIGならプラス域でやめられる!
頼む…頼むっ!
が、出てきたのは残念ながらREG。こいつはよもやよもやだよ。
開店の時刻が近づくたびにどんどん薄れていくのだが、俺の目の前に広がっているオアシスは蜃気楼か何かなのだろうか?
いよいよ残り時刻は1時間。
ここまで来たら、せめて1セットの料金と女の子のドリンク代の合計額となる4〜500枚くらいプラスで終わらせたい。
現時点で200枚ほどのマイナスなので最後の最後にジャグ連でBIGが2連ほどしてくれたらもう充分楽しめるはず。いや、全集中で楽しんでみせる。
だから頼む!
神よ、いや目の前のピエロよっ!
俺を祝福してくれっ!
342 REG 2000円
402 BIG 8000円
100 ヤメ 275枚
最後にほんの少しだけ意地を見せるも残念ながらここで時間切れ。
ガールズバーの周年を祝いたかったのだが、どうやら今日の俺のヒキではホールの周年を祝うのが精一杯だったみたいだ。
おめでとう!
○○店2周年。
さて、本来ならもうガールズバーに寄らず一目散に帰りたいところなのだが、悲しいかな…こんな状況でもガールズバーに行くまでが俺が決めたマイルール。
周年でセット料金しか払えないことが確定しているが、とりあえずは鍵開けからガールズバーへ。
やはり周年ということもあり、店内を見渡すといつにも増して女の子の出勤数が多い。
鍵開けで来たこともあり、直後に早くも常連客たちが訪れてくるとはいえ、まだまだ女の子の数が余っているのだろう。
「よろしかったら女の子を複数つけることもできますが?」
と声をかけてくるボーイ。
そりゃあ、そうだ…。
まだこのボーイは俺がセット料金しか払わない周年冷やかしアラフィフ糞野郎だなんて夢にも思っていないのだから。
「タイミングを見てで大丈夫なんで、まずは普通で頼むよ」
快勝してれば女の子たちに囲まれてこれぞまさにオアシスとでもいわんばかりの状況だったのだろうが、今となっては女の子が1人でもつくこと自体が辛い。
できることなら目の前の女の子が蜃気楼の如く幻であったら…。
そう心の中で何度も願いながら、女の子の話とドリンクいただいてもいいですか?の問いを心ここにあらずの状態で右から左へ受け流すのが精一杯な俺。
柳に風とはまさにこのことだろう。
いや〜、時間はなかなか経たないし本当に困った。
この悪夢から覚めるにはどうしたら良いものか…。
はっ、そうだ!
ドリンクを出そうかな感だけは出しつつも、1セットの終わり間際にやばい!急遽予定が入ったから一旦出直すね…的なハプニングを装って、後日お詫びでお祝いする作戦でいこう。
そう心に決めて心を無にし、トイレにも2回ほど立ちあがり一刻一刻が過ぎるのを只々ひたすらに待ち続けた。
そして、迎えた1セット終了20分前。あと10分もすれば延長するかどうか尋ねられるはず。
ここでお詫び作戦を発動すれば今日のミッションはコンプリートしたも同然だ。悪いことは言わないから、このまま平穏にこの場から立ち去らせてくれ!
そう願った次の瞬間だった。
ボーイ「大変お待たせいたしました。今からビンゴタイムに突入します!」
いやいや、待ってない…全然待ってないって。
せめて、そういうのは1セット目が終わって延長してくれたお客様に感謝の気持ちを込めてやるべきだろ。
そんな想いも虚しく突如始まったビンゴゲーム。
これが、大した商品が用意されてないとかなら良かったのだが…。1等(この回は2本)の商品はそこそこ豪華なので、今の自分がビンゴしようものならいよいよ終わりの始まりだな。
頼むからビンゴなんかしてくれるな。
何なら1個も穴が開かない状況で誰かしらビンゴして景品を全部持っていってくれ!
しかし、そんな想いとは裏腹に順調に開いていくビンゴカード。
ボーイ「リーチの方はいませんか?」
この掛け声がかかった時点で既にリーチしていたのだが、ここは柳に風作戦ビンゴver.を発動…見逃してビンゴできななったうっかりさんパターンに持ち込もう。
女の子「あれ?カズさん、それリーチじゃない?」
ドリンクすら出してもらえずに暇を持て余しすぎて、もはやビンゴカードの数字を見るくらいしかなかったのだろう…。
目の前についた天使のような女の子の悪魔の囁きが店内に響き渡ったせいで一瞬にして場が凍りつき始めたのを察した。
そりゃあそうだ。ビンゴを開催してるボーイからしたら周年なのに女の子にドリンクすら入れない俺が1等の商品に真っ先にリーチをかけたわけだ。
これで商品を持ち帰られようものならこの上ない惨事だわな。
お店側的にはどんな違法な手段を駆使してでも俺にビンゴさせたくないはず。もちろん、その気持ちは俺も一緒だ。
ここからは俺とお前(ボーイ)で初めての共同作業ってやつさ。
何が何でもビンゴとなる45番の玉を出してくれるなよ!
しかし、引くなと願うと引けてしまうのが、確率の世界の不思議。
何と、今宵1番周年に最も貢献してない男が1番最初にビンゴを達成してしまったのだ。
ボーイの冷ややかな視線が突き刺さるなか、1等で用意された2つの品の中から1品を選ぶこととなったのだが、いかにも目玉と言えそうな自転車は気がひけて選べず。
どちらかといえばまだ価値が低そうなゲーム機を選ぶことが、俺にできるせめてもの周年のお祝いだった。
残された力を全集中し、急遽用事が入ったんでチェックで!と言った俺はボーイを始め店内スタッフ&お客さん一同から蔑んだ目で見られていたとしても仕方ないと思う。
ただ、ここまでの羞恥に耐えたことを誰でも良いから1人くらいは讃えてほしい。
周年なのにきっちり1セット分の料金だけで済ませた俺…。
そんな俺にはもはや誰も興味を持っていなかったはずなのだが、運が悪いことに2人目のビンゴ達成者が出た時に事件は起こった。
何とそのビンゴを達成した男性客がガールズバーでは滅多にお目にかかれないアルマンドのシルバー(推定40万)をお祝いで入れると言い出したのだ。
ビンゴで同じ1等を当てた同士とはいえ、もはや店側から見たら月とすっぽん。天地ほどの差があるくらい2番目の男が輝かしく見えたことだろう。そして、それと同時に俺のことがゴミ屑のように見えたことだろう。
シャンパンの栓が開く音でその場にいた全ての人間が気を取られていたこともあってか、見送りに来たボーイ以外、俺が帰ることに誰一人として気付かない。
かたや羨望の眼差しで見られる男を横目に、ボーイの気持ちも入らないようなありがとうございました!という声で見送られた俺。
正直、今回は色々事故が起こりすぎた。その結果、まさか自分がここまでピエロにされるとは夢にも思わなかったよ。
ふっ、ジャグラーだけに…ってか。
ジャグラー代-17000円 ガルバ代-3300円
計-20300円也…。
ジャグラーガール・ズバー
バツイチ独身サラリーマンで少しハードボイルド系のカズが趣味であるジャグラーと夜の街を掛け合わせた実戦コラム。ジャグラーで勝利できれば、プラス分のなかで豪遊する予定ですが、もちろん、新型コロナ予防対策に十分気を付け、節度を持って行動します。