『アレっ、あのビルたしか1・2階がパチンコ店だったはずだけど、内装工事している。あの店も閉店したかぁ~。こんな光景を見るの、今月で何店目だろう…』日々の営業活動を通じて、そんな独り言を何度も呟いてしまっている、中野和彦です。
ホールを取り巻く環境は、悪化の一途を辿っているようで、経営が厳しいホールは激増しています。原因は多岐にわたると考えられますが、稼働貢献がまだまだ見込まれる旧基準機が続々と撤去され、その代わりに設置される6号機の稼働・利益が振るわない…という要因が最も大きいと考えられています。
かと言って、決められている期間内に撤去&導入を行わないわけにはいかず、厳しくなることを承知の上で入れ替え作業をしなければならない。ホールを運営する側にとっては頭の痛いところです。
ちなみに、撤去せずに設置期限切れの機種、いわゆる“みなし機”を設置しているホールも少なからず存在しますが、大目に見られるのも年内いっぱいのようで、年明け以降は厳しいペナルティが課せられるとの噂も耳にしますから、来年は現状よりさらに厳しくなるのかもしれません。
さて、ジャグラーの話に移したいのですが、これまで『ジャグラーは聖域』『ジャグラーは薄利で運用』と語るホールが圧倒的に多かったのですが、ここ数ヶ月は確固たるその信念を崩さざるを得ないホールも出てきているようです。
今回はまず最初に首都圏でジャグラーを甘めに運用している店長(以下、店長A)さんにお話しを伺いました。
店長A「ジャグラーは常連さんが多いし、そこまでシビアに立ち回っている客も少ないので、かなり甘めに運用していました」
中野「具体的な配分はどんな感じだったのでしょうか?」
店長A「基本的に設定1は使いません。通常営業・お店のイベント日に関係なく設定6は毎日使っていました。予算に余裕が有るときは複数台使うことも」
中野「それがどのように変化したのでしょうか?」
店長A「設定1を複数台使うようになったし、設定6の投入頻度が激減しましたね」
中野「ちなみに、良かった頃の台粗利(1台あたりの利益額)はどのくらいでしたか?」
店長A「もう4~5年前からひたすら1000円~1500円/1台で運用していました」
中野「直近の台粗利はいくらぐらいでしょう」
店長A「2500円、ひどい時は3000円ぐらいですね」
中野「台粗利を上げ始めたのはいつぐらいからですか?」
店長A「去年の年末ぐらいから、いよいよジャグラーに頼らざるを得なくなるかな、なんて感じていたんですが、明確に抜くようになったのは、今年の春ぐらいからですね」
中野「台粗利を上げて、稼働に変化はありましたか?」
店長A「若干下がっています。ただ、これを続けていると取り返しがつかない程、落ち込みそうで怖いんでここらへんが限界でしょうね。けど、他に利益を確保する手立ても見つからず、手詰まり状態ですよ(苦笑)」
次にジャグラーがそれほど強くないと話す、首都圏の店長(以下、店長B)さんにもお話を伺ってみました。
店長B「ウチは元々ジャグラーの稼働が良いことはなく、ぼく自身がジャグラーに注力していませんでした。設定配分も適当で、基本的には設定2と3しか使っていない状況でしたね」
中野「失礼ながら、その配分で稼働を維持できましたか? それと利益も確保できましたか?」
店長B「可もなく不可もないといったところでしょうか。ただ、ジャグラーに注力しなくたって、旧基準機でガッツリ抜けたし、旧基準機の稼働を維持するためにはジャグラーに高設定を使う余裕がなかったんですよ」
中野「では、現状もその状況は変わらないと…」
店長B「それが…旧基準機が減ってきて、動かない6号機や人気薄の中古機を設置せざるを得ないご時世で、ジャグラーの設定配分も見直さなければならない状況になりましたね」
中野「現状の配分は、どう変化したんですか?」
店長B「設定2が中心になりました。日によっては、設定1と2のハーフだったりします」
中野「高設定は皆無ですか?」
店長B「たま~に使う程度です。ただ、設定6はアイムかゴージャグ系にしか使いませんね。申し訳ないけど…」
一般ユーザーである我々の想像以上に、ホール運営は逼迫(ひっぱく)しているようです。その要因は個店によって様々でしょうが、先述の通り、多くのホールが旧基準機の撤去に伴う新台入れ替えが足かせになっているのは間違いないでしょう。そしてその流れは、今後も変わることなく5号機の完全撤去まで続くでしょうから、ホールの経営もますます厳しくなると考えておくべきでしょう。
最後に、それぞれの店長にこんな疑問をぶつけてみました。
中野「現状や今後、ジャグラーは打つべきではないんでしょうか?」
店長A「厳しいとは言え、他の機種に比べれば設定1の台数は圧倒的に少ないし、設定6も複数台設置しているのはジャグラーだけ。店長である僕が言うのはおかしいかもしれませんが、その他の機種はジャグラーの数倍リスクが高いと思いますよ」
店長B「店内の多くのがベタピン(全台設定1)ですが、ジャグラーは設定2が中心ながら設定3を常時使っているし、毎日は無理ながらたまには高設定も使いますからね、もちろん通常営業でですよ。なので、他の機種を打つぐらいならジャグラーを打ったほうがいい…じゃないですよね。僕的も店的にも旧基準機をガンガン打ってもらって、お金を落としてもらえれば、もっともっとジャグラーにも高設定が使えるので、是非そのような行動をお願いしたいです(笑)」
今回のインタビューを受けて、我々ユーザーはどんな店をチョイスすれば良いのか、正確な解答は誰にも導き出せないかもしれません。ただ、ひとつ言えることは、ジャグラーと6号機の設置台数が多く、どちらの稼働も旧基準機と同等、あるいは旧基準機よりも上回っているようなホール、つまり旧基準に頼らなくても経営が成り立っているホールであれば、勝負する価値があるのではないでしょうか!?
ホールサイドのジャグ雑感
中野和彦(なかのかずひこ)が自分の人脈を最大限に引き出し、ホールによるジャグラーの扱い方などを紐解く。読者の皆様にホール店長の考え方やジャグラーシリーズの設定配分などを知っていただくための取材日記。